婚約破棄されて娼館に売られる(予定)なので、超高級娼婦を目指します!

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先行配信日:2022/08/19
配信日:2022/09/02
定価:¥880(税込)
婚約破棄からの断罪……さらに『娼館』に追いやられる運命ならば!
いっそ、私、悪役令嬢ナターシャは――『超高級娼婦』を目指します!
美貌の『娼館の主人』とのひたすら甘い『夜の練習』を重ね、
いよいよの娼婦デビューへ! でもなぜか舞台は王宮で!?
これじゃまるで婚約者に見えちゃいますよ!? あなたは一体何者なの?
勘違い無双令嬢の大人気溺愛ストーリー、eノワールに創刊登場!

成分表

♡喘ぎ、二穴、NTR、非童貞、などの特定の成分が本文中に含まれているか確認することが出来ます。

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第一章 娼婦を目指すナターシャの行き先は


「ナターシャ、美味しい?」
「お、美味しいです」
 私を膝の上に乗せたまま、彼は二個目の小さなマカロンを私の口に入れた。
 少しでも離れることは許されないようでガッチリと腰はホールドされているし、反対の手は愛おしそうに髪やら頬やらを撫で続けるものだから、私は頬が赤くなりっぱなし。
 ──あの!? すぐそこに使用人の方たちがいますからね……!?
 今朝はこの娼館に勤める白髪の執事長と、以前私がお父様やお兄様と話した下水道整備について事細かに議論した。
 前世では超難関大学への合格を手に入れた私でも、さらに自分が今世は娼婦になる運命だと知ってから八年間、「超高級娼婦」を目指し多種多様な勉強をしてきた私だけれど……執事長にはまったく敵わない。
 それが終わると、メイド長からは他国のしきたりや歴史を学び、昼過ぎからは庭師のおじいさんと語学の話を楽しむ。
 そしてそのすべての知識を、今私を膝抱っこして嬉しそうに微笑む非常に整った顔立ちの彼──娼館の主人は身につけている。
 何を話題に出しても、さらに詳しくすべて返ってくる有能ぶりには驚きを隠せない。
 どれもこれも学ぶのは楽しいのだけれど、やはり婚約破棄されるまで長年こなしてきた第二王子妃教育よりも、現在行われている「超高級娼婦」教育の方がはるかに難易度が高いことに──いかに私が極めようとしている「娼婦」というものが難しく険しい道のりなのかと実感させられる。
 娼館の主人からして学院トップだった私でも足元にも及ばないのだから、その求められる質の高さがうかがえるというものだ……。
 ────それでも……!
 閨を共にするだけでない「超高級娼婦」になると八年前から目標を定め、それに向かって様々な勉強をしてきた私に……投げ出すという選択肢はないっ!

 我が侯爵家より大きな屋敷であるこの娼館に勤める人たちは、第二王子から婚約破棄され娼婦となった私に対し、常に敬意を払い、何もかもが至れり尽くせり。
 まだ娼婦として未熟な私がお客様を取ることはないようでお客様自体が来ないし、他の娼婦のお姉様方もいらっしゃらないし、レベルの高い使用人たちに、たまに自分が娼婦なことを忘れてしまいそうになるが。
 でも、ここが【世界のVIP専用お・も・て・な・し嬢養成所】だということにこっそり気付いている私は、気を抜いたりしない!

 そして、娼館の主人であるこの方との「夜の練習」が自分は娼婦であることを毎回しっかりと思い出させてくれる……はずなのだけれど。
 ──最近ではここが一番勘違いしそうになる悩みどころ。
「恋人の練習」なのか甘やかされ、愛を囁かれ、夜ではなくても常に彼のお膝の上状態。
 さらに、昨日からそこにイタズラが加わり始めた。
 頬を撫でていたその手は気付けば首筋に、そして胸元に降りてくる。
 柔らかくたわわな胸は揉みしだかれ、エンパイアドレスを着た胸の形が変わるほど。先端を触られるたびに下腹部がキュンとして潤い、切なくなってくる。
 ──コルセットのあるドレスにはこういう時の防御もあったかもしれません……っ!
 このドレスだとやりたい放題……いえ、やられ放題ではないですか!?
 自分がデザインしたドレスの問題点を今さらながら発見したのだけど今はどうしようもなく、声が漏れないように必死で耐えているが……私は日々の特訓の成果なのか、とっくに胸だけで達するようになっている。
 使用人たちから死角になっているとはいえ、声を出せばすぐに気付かれてしまう。
 菓子を素早く咀嚼し呑み込んだのはいいが、彼のイタズラは止まらない。
 恥ずかしさのあまり涙目で『やめて』の意を込めて彼を見上げ頭を振ると、蕩けそうな微笑みを浮かべる彼がいた。その顔を見ると胸がキュンキュンと高鳴り、拒絶することなどできなくなってしまう。
 ……とことん私は彼に弱いのだ。
「……っっ、ん、ぁ、……っっ!」
「ナターシャ、かわいい……気持ちいいの?」
 耳元で囁くように聞かされるその低い声は頭の中を直接犯されているようにゾクゾクしてしまうし、耳に舌を挿入され、水音が直接響けば脊椎から脳天まで電気が走る。
 優しく私を抱きしめているようで、その実、エッチなイタズラをしている彼はドレスの裾から手を差し込み始めた。
 さすがに娼婦と娼館の主人との特訓とはいえ、人前でやるようなことではない。
 それなのにところ構わずキスをして抱きしめてくるこの娼館の主人は、いつものように綺麗な青色の瞳に金色の煌めきを宿して、これ以上愛しいものはないとでも言うように私を見つめる。
 ──本当に、なんてお上手な演技なのでしょう。
 初めて人を好きになったのが娼婦に落とされてからだし、その相手が娼館の主人という、ワンちゃんですら食べないような話に陥った私だけど、絶対にこの気持ちは隠し通すと決めている。
 だって、私は娼婦なのだから。

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先行配信先 (2022/08/19〜)
配信先 (2022/09/02〜)